オンライン小説~銀の騎士~剣と魔法のファンタジー物語

銀の騎士本編

第1章~旅立ち~

オンライン小説~銀の騎士~剣と魔法のファンタジー物語

ププタンの村(2)

森に足を踏み入れるとすぐに襲い掛かって来たのは、つる草のモンスターだった。 いきなり後ろからふいをつかれ足に巻き付かれたので、アビは転倒した。その拍子に腰に付けていた短剣が、大きく飛んで木々の闇に消えた。

「しまった!」

すぐに腕と首に巻き付いて来たつるは、容易には外れそうもない。 かといって、腕に巻き付かれていては剣を抜く事は出来なかった。 短剣がなければつるを切る事は出来ない。 そうしている内につるはどんどん締め付けてくる。

「このままでは首が締まってやられる!どうしたらいい!?」

その時突然つるが切れて自由が体に戻って来た。

「大丈夫か?アビ。なんか胸騒ぎがして・・・。戻って来て良かった。
あんなつるモンスターに足をとられるなんて!油断したのか?」
シュールだった。

「シュールにはいつも、助けられてばかりだ。」
しょんぼりと肩を落とすアビにシュールは短剣を手渡した。
「これが俺目掛けて飛んで来たぜ。」

なんてタイミングなんだろう、シュールは困っていると必ず助けてくれる。
アビはシュールに運命めいたものを感じていた。

「今日は一緒に狩りに行こう。大体ハンターは二人で狩りするもんじゃないなんて、 じじい臭い考えだと思わないか?二人の方が協力しあえるし足りないところも補いあえるじゃないか。 俺は一人より二人、二人より三人の方が楽しいと思うぜ。」
「ありがとう、シュール。」
なんだかシュールの優しさがうれしかった。

シュールのおかげでゴブリンはすぐに倒せた。 今日の収穫は、紅い石3個と透明な石1個とただの石ころ5個だった。 アビはおばさんに渡すため紅い石1個と、自分のためにただの石ころ5個をもらって帰った。 最初に手に入れた光らない魔物の石以来、アビはずっとこのただの石ころを集めていた。 なんとなくである。光る石は全部おばさんに渡すので、 何か自分が魔物と戦ったという証拠が欲しかったのだ。 光らない石は今日の5個でちょうど100個になった。

翌朝、目醒めると村中はざわついていた。 主要な大人達は村長の家に集まり、むずかし顔で何か話し込んでいる。 その他の大人達も、自分の家と誰かの家を行ったり来たりして、 じっとしている者はいなかった。おばさんも隣の武器屋の家に行っていたが、 飲んだくれのおじさんだけは、いつもとかわらずただただ酒を飲んでいた。

アビはおじさんを好きではなかったので、おじさんにはなるべく近寄らないようにしている。
だから何があったのか気になったが、おじさんには聞かなかった。
バタバタと行ったり来たりする人々を、ぼんやりと窓から眺めているとシュールが近付いてくるのが見えた。 アビは急いで屋根裏の自分の部屋からはしごを降りて、外に飛び出した。

「シュール!!何があったの!?」
「大変なことになってるぞ。お前も一緒に来い!」
「どこへ?」
「村長の家だ。ダリルも行ってる。」

ダリルはハンターである。何年か前までは村にも10人以上のハンターがいたが、 みんな死んでしまい、今ではダリルとシュールとアビだけだった。 最も村人達はアビをハンターとは認めていなかったのだが。

ダリルは大人だ。 村の人たちが農作業中のボディーガードとして雇うのはいつもダリルだったので、 ダリルはあまり村の外に魔物を狩りに行く必要がなかった。 光る魔物の石を集めなくても、食べていけたからだ。

「村長はハンターが必要だって言ってるらしい。おまえだってもう一人前のハンターだろ?」
「誰も仕事をくれないけどね。」

アビは自分が必要とされてはいないと云う気がして複雑だったが、
シュールが信じてくれているのは嬉しかったので、とりあえず村長の家に急ぐ事にした。

「一体何があったの?」
走りながら聞くと、
「おれも良く知らないんだけど、とにかく俺達の出番って事らしいぜ。」
シュールは少し生き生きとして見えた。

次へ
MENU
オンライン小説
銀の騎士本編
  • プロローグ
  • 第1章~旅立ち
  • 第2章~出会い
  • 第3章~危機
  • 第4章~謎
  • 第5章~迷宮
  • 第6章~決戦
  • エピローグ
銀の騎士続編
銀の騎士外伝-金の王子-
銀の騎士外伝-ショート-
オンライン小説付随Menu
読者様のご感想
世界地図
読者様イラスト
プライベート
お役立ちリンク
人魚姫
ミーチャの出版物