第2章~陰謀~
オンライン小説~銀の騎士~剣と魔法のファンタジー物語
(5)
気が付くとセラムは、王宮のベットで横たわっていた。額に汗が浮かんでいる。
何か嫌な夢を見ていた気がするが、それが何だったのか、思い出す事は出来なかった。
セラムは頭をおさえて身体を起こし、しばらくうつむいて目眩がおさまるのを待った。
そういえば咽がからからだ。セラムはベットの横にあった水差しから、グラスに水を汲んで一気に飲み干した。
「ゲホッ。」
思わずむせて、飲んだ水を吐き出してしまった。
咽に刺激を感じて首を押さえ、灼けるような熱さに身悶えた。
「だ、だれか……」
立ち上がろうとして目眩を起こし、ベットサイドのテーブルに思いきり手をつくと、テーブルは傾き、置いてあった水差しとグラスが大理石の床に落ちた。
ガッシャーン!!!
大きな音にびっくりして、控えていた侍女が慌てて扉をたたいた。
「王子殿下、大丈夫でございますか?」
返事はない。セラムの苦しむうめき声は扉の向こうへは届かなかった。
「王子殿下? 失礼いたします。」
侍女は不審に思いそっと扉を開けた。
「き、きゃ一一一一一一一!!!!! 誰か! 誰か来て!!」
そこに侍女が見たのは、焦点の定まらない虚ろな瞳で、今にもベットから落ち床に倒れ込もうとしているセラムであった。
真っ青な顔色で口からは血が流れている。
乱れた金の髪、青白い頬、真っ赤な唇、それはゾッとするような美しさだった。

侍女は小刻みに震えながらも、セラムから目が放せなかった。
どやどやとたくさんの人がやって来て口々に何か叫びながら走り回っている。何人かが完全に意識を失ったセラムを抱き起こし、別室に連れて行こうとしている。医者らしき人物がそれを止めてセラムをベットに寝かせた。医者は誰かに何かを指示している。たくさん集まっていた人々は散っていき、部屋には医者らしき人物の他に、もう一名男性が残っている。
「さあ、あなたももうお下がりなさい。この事は他言無用です。」
肩をたたかれ侍女はハッとした。
長い時間自分がそこに突っ立ったままだった事に、初めて気づいたのだ。
「申し訳ありません。」
侍女が慌てて扉を閉めて出ていった。
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