オンライン小説~銀の騎士~剣と魔法のファンタジー物語

銀の騎士続編

第2章~集い~

オンライン小説~銀の騎士~剣と魔法のファンタジー物語

(8)

昨日の会食は、国王にもてなされた時よりずっと楽しかった。

銀の騎士との会話を思い出しながら、セラムは簡素なコーリット王宮の壁を眺めていた。城にはバルボーンのように、金銀の華美な装飾は殆ど見られない。敷地もこじんまりとしており、門の外からも、王宮の建物全体を見渡すことができる。敷地内に貴族の屋敷はなく、騎士達が使う平家の建物と馬舎があるだけだ。見事な庭園もなければ、広大な森もない。

貴族は皆、王宮内に部屋を持っている。貴族達の領地は、王宮のすぐ近くのわずかな畑のみで、城から少し離れればそこは無法地帯だった。誰も治めない土地にたくさんの村があり、独自に暮らしている。気性のせいか皆のんびりとしており、領土争いとは無縁のようだった。

コーリット城は、そんなこの国の朴訥な人々同様、暖かい雰囲気に満ちた場所だったのだ。
毎日行われている騎士達の訓練も、王宮内の窓から覗き見る事ができる。和気あいあいとした訓練風景は、とても王宮内の出来事とは思えない。
しかも平民の子供が訓練に混じっているではないか。バルボーンでは考えられない事だ。
サンバールも慣習の違いには驚いた。

大陸を放浪して一年、王宮に足を踏み入れたのは初めての事だ。いくら書状があるとはいえ、供も連れず荷物も持たず、旅人のなりをした自分達を、すんなり王宮に迎え入れてくれた事にも驚いたが、バルボーンという未知の国の王子を名のる者を、王宮内、自由に歩き回らせる鷹揚さにも驚くばかりだ。 城の内部を余すところなく知られれば、攻めて来られた時ひとたまりもないではないか。

一見したところこの城は、戦には向かない城だった。門は低く見張りも二名しかおらず、誰でも申し出れば入れてくれそうだ。物々しさがかけらも感じられない。バルボーンとは何もかも全く違っていた。 大陸全体は、まるで一つの国のようだった。各国の国王は大きな国の領主のような存在なのかもしれない。そして国を動かしているのは、先読みの一族の意志だった。どの国もそれを不思議と思わず、異も唱えない。大陸中に先読みの一族への信頼が浸透している。

その根幹を成すのが銀の騎士伝説である。

昨日の若者は、確かに伝説の騎士の再来であると言われれば、なるほどと頷ける神秘的な雰囲気を持っていた。本物かどうかは別として、民人にそう信じ込ませるには充分なのだろう。
バルボーンとは少しも国交のないコーリットは、何もかも新鮮で楽しかった。

大陸内ではもはや天然石は採れないという。それでも魔物の石がそれを代用していたので、困る事は無かった。これからは、今ある魔物の石が今まで以上に高価なものになるだろう。もしかしたら、宝石類を得る為にバルボーンと国交が開かれる事になるかも知れなかった。

大陸内で使われている硬貨は、すべて銅貨だ。銀は高貴な存在として尊ばれているため、民人の手の届くところにはなかった。

バルボーンでは銀より金の方が高価なのだが、この大陸では違っていた。
王宮にも金は殆ど使われていない。もしかしたら、金は採れないのかもしれなかった。

サンバールは、セラムが即位した後のバルボーンが、コーリットと交易する可能性を思い、慎重に城内を観察してまわったのだった。

次へ
MENU
オンライン小説
銀の騎士本編
銀の騎士続編
オンライン小説
銀の騎士外伝-金の王子-
銀の騎士外伝-ショート-
オンライン小説付随Menu
読者様のご感想
世界地図
読者様イラスト
プライベート
お役立ちリンク
人魚姫
ミーチャの出版物